Report業界研究記事
2020.12.23
“死”と向き合って、なにを感じた?|#カイゴのゴカイ Vol.5
「その人らしさ」を感じる瞬間
ターミナル(終末期)の利用者様の誕生日。
お子さんたちが部屋に来てお祝いをしてくれていると、「そろそろサザエさんが始まる時間よ。暗くなる前に早く帰りなさい」と。
その言葉を最後に、子どもたちに囲まれながら、最期を迎えられました。
小学校の教師をされていた方で、普段から子ども想いだった方が、最後の最後まで子ども達を気遣われていました。
その優しさに、「その人らしい最期」を感じました。
リガーレ暮らしの架け橋 地域密着型総合ケアセンターきたおおじ
正職員 小田原 彩華
「その人らしさ」と向き合い続ける
若年性のアルツハイマーのご利用者さんのお話です。
世界中を旅してこられたほどの旅好きで、毎日遠くまで散歩に行ったり、山に登ったりされていました。
ご利用者さんは一人暮らしだったのですが、帰るところが分からなくなることが徐々に増え、職員は様々な支援を検討していました。
そしてある日、ご利用者様が行方不明になりました。
数日後に発見された時には、山の中で亡くなっていました。
山に行くのは危ないと分かっていながらも、「何にも分からなくなったら、私は山に行くよ」と笑いながらおっしゃっていたことを思い出しました。
この方が自分の足で歩き、愛してきた自然の中で最期を迎えられたことは、何かの意思表示だったのではないかと感じました。
今でも、その時私たちにできたことは何だったのか、尊重、尊厳とは何なのかと考え続けています。
この方と出会い、関わらせてもらった時間を忘れず、「その人らしさ」とは何かを常に考えながら、支援をしていきたいと思っています。
リガーレ暮らしの架け橋 地域密着型総合ケアセンターきたおおじ
リーダー 山﨑七恵